2022年10月1日~2023年9月30日まで公開します。

都会の海も豊かに蘇らせる
鉄鋼スラグ製品で生き物が集う海へと再生
JFEスチール株式会社

社会を支える基礎として重要な役割を果たしてきた鉄。JFEスチールは鉄を製造する企業として社会の基盤を支えるとともに、鉄から生まれた副産物である鉄鋼スラグ製品によって、海洋環境の保全や修復にも積極的に取り組んでいます。高品質な鉄づくりの中で培った新たな発想で、未来の人々の生活と海や自然の環境を守り続けていきます。

目次

社会基盤を支える重要なリサイクル素材、鉄鋼スラグ製品

陸に、海に、幅広い用途に使用される鉄鋼スラグ製品

鉄鋼スラグは、鉄鋼製品を作り出す際に発生する副産物です。日本国内で生産される鉄鋼スラグは年間4000万トンと膨大な量であり、リサイクル素材として様々な用途で利用されています。JFEスチールでは高炉で鉄鉱石から鉄を作る工程で発生する高炉スラグと、転炉や電気炉で鋼を作る工程で発生する製鋼スラグを活用した様々な製品を製造しています。セメント用原料や、道路用路盤材として利用されるほか、砂を突き固めて杭のように地盤に打ち込む地盤改良法、サンドコンパクションパイル工法の砂材、護岸整備や埋め立てなどの港湾工事の際に、天然の砂利や岩石などの代わりとして利用されています。このように鉄鋼スラグは、陸でも海でも、社会インフラを支える大切な素材としての役割を担っています。

海生生物を育む環境をつくる海域向け鉄鋼スラグ製品

JFEスチール

JFEスチールの海域向け鉄鋼スラグ製品は主に3種類あります。
フロンティアロック®は、製鋼スラグと高炉スラグ微粉末を練り混ぜて水和固化したもので、100㎜から1000㎜ほどの大きな人工石材です。鉄分や珪酸分などのミネラルを多く含み、海藻などが付着しやすい特徴があります。
製鋼スラグと二酸化炭素を含む排ガスを反応させて製造したマリンブロック®は、究極のリサイクル素材。内部に無数の穴がある多孔質体なので、サンゴや海藻が着生しやすくサンゴ礁・藻場造成礁として最適なブロックです。
また、海底の覆砂材や浅場造成の基盤材として有効なマリンストーン®は、硫化水素やりんを化学的に吸着する性質を持っており、海域の水質改善に優れた効果を発揮します。広島県の閉鎖性海域(地形等により水の出入りが起こりにくい水域)に対して適用したところ、硫化水素による悪臭の抑制や海生生物の生息などの環境改善効果が認められました。このことが評価され、2015年の「エコプロダクツ大賞 農林水産大臣賞」を、2016年には「第26回日経地球環境技術賞 優秀賞」を受賞しています。

山下公園前海域で環境改善に成功! 生き物でにぎやかな海底から実況中継

JFEスチール
観察された海の生き物たち

横浜・山下公園は人気の観光スポットでありながら、その前に広がる海域は海底にヘドロが堆積し、さらに夏季には水中の酸素が不足するなど生き物が生息しにくい状態でした。そこで横浜市とJFEスチールが共同で、鉄鋼スラグ製品を使って磯場を造成し、水質浄化能力の向上や生き物が集まる海域へと改善する研究を行いました。設置してすぐに、ハゼやメバルなどの魚たちが集まり始め、設置したマリンブロック®やフロンティアロック®にワカメなどの海藻などの生物が付着。二枚貝やホヤなど、こし取るようにえさを得るろ過食性生物たちも生息し、平成28年の調査では1日当たり8,400 klの海水をろ過していることが推計されました。
2013年に開始したこの研究は、2018年に終了しましたが、その間に海生生物が生息しやすい環境へと改善。山下公園周辺で毎年行われるトライアスロン大会に先行して開催される「グリーントライアスロン」イベントでは、山下公園前の海域へダイバーが実際に潜って海底の様子を実況中継する「海中映像生中継」を行っており、豊かによみがえった海底の様子が映し出され、観客の関心を集めました。ほかにも地域住民への環境教育に多数活用し、啓発に貢献しました。
これらの取組みが評価され、令和3年度 土木学会環境賞(Ⅱグループ)(土木技術・システムを開発・運用し、環境の保全・改善・創造に貢献した画期的なプロジェクトに対して授与される賞) 、および第5回エコプロアワード(事業者、消費者、投資家、市場関係者に評価が高く、具体的に優れた環境配慮が組み込まれた製品、サービス、技術などを表彰) 国土交通大臣賞を連名で受賞しました。

参考:横浜市の記事
https://tokyobayfes.jp/online-exhibition/yokohama1/
参考:横浜市との共同研究『豊かな海づくり事業』について
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kankyohozen/kansoku/science/naiyou/umi/umidukuri.html

各種お問い合わせは

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